iPhoneをロボットの頭脳にしちゃえ、このサウンド・モデム・プロジェクトは、そんなアイディアから生まれました。

 iPhoneと外部機器(以下、アクセサリ)を接続するiPhone底部にあるドック・コネクタ、このドック・コネクタに対応したアプリ開発は、Apple社との別途秘密保持契約が必要など、そう簡単ではありません。

 誰でも簡単にiPhoneからロボットを動かしたい、それを叶えるために、音声端子でデジタル信号をやりとりするソフトウェア・モデムを開発しています。このプロジェクトは、iPhoneと様々なモータそして各種センサーを自由につなげることができ、ロボットに限らない、自分オリジナルのiPhoneアクセサリ開発を可能にします。

自分のアイディアで、オリジナルのiPhoneアクセサリ、作ってみませんか?

ポイントは、音声端子からのデジタル通信


 このプロジェクトのソフトウェア・モデムは、このiPhoneとマイコンの、デジタル信号と音声信号を相互に変換するソフトウェアです。基本原理は、電話回線でデジタル通信をするアナログ・モデムと、同じようなものです。

 動きが目に見えると楽しいので、iPhoneで動かすロボットを作ってみました(図 (a))。LEGO社MINDSTORMSのロボットキットにiPhoneを組み込み、iPhoneからの制御信号で、モーターを動かしロボットが歩きます。このロボットの制御信号の流れが図(b)です。モータの速度や位置信号などを指定するデジタル信号は、iPhoneのプログラムが、音声信号に変換して、音声端子から出力します。この音声信号を受けるマイコンは、音声信号からデジタル信号を取り出し、そのデジタル信号に従いモータ制御などを行います。

表1. iPhoneの外部機器接続方法の比較

  ソフトウェア・モデム   WiFi/Bluetooth ドック・コネクタ 
 手軽さ
(コスト)
 ◎
~500円程度
× 
~6000円
 △
コネクタ等
 安全性  ◎
絶縁が容易

電気的に絶縁
 △
絶縁されていない
 通信速度
~ 12kbps
◯ 
数M ~ 数十Mbps

数百Mbps
アクセサリ開発
 ライセンス契約
 不要 不要  必要 

 iPhoneの外部機器との接続方法の比較を表1に示します。接続手段として、このプロジェクトのソフトウェア・モデムの他に、ドック・コネクタおよびワイヤレス通信(WiFi または Bluetooth)があります。ソフトウェア・モデムは、ロボットなどの制御に充分な通信速度が得られ、かつとても安価で手軽に使えます。またiPhoneと外部機器の間にコンデンサを入れて容易に直流電圧を絶縁できますから、回路の損傷など、直流電圧によるトラブルの防止が容易です。

たった500円程度で、iPhoneをロボットの頭脳にできます

なぜ、iPhoneをロボットの頭脳に?

 iPhoneをロボットの頭脳にする理由は:
  • 高機能、高性能、
  • 手頃な価格、
  • 圧倒的な普及台数、
です。

 まず高機能、高性能です。iPhoneは、WiFiやBluetoothそれに3Gの通信機能、美しい液晶とレスポンスの良いタッチパネル、数百MHzのARMプロセッサと大容量RAMおよびフラッシュROMを搭載しています。さらに、ロボットが必要とする加速度センサーやGPSまで内蔵しています。

 次にiPod touchであれば新品でも2万円を切る手軽な価格です。もしも、従来のロボット制御向けに開発されたマイコン・ボードで、これほどのスペックを実現すると、価格は10万円を切ることはありません。また本体の大きさもiPhoneよりずっと大きく、おそらくはiPad並みの大きさ、になります。

 最後に、圧倒的な普及台数です。すでにiPod touch/iPhoneは、全世界で普及台数7000万台を超え、さらに増え続けています。もう家庭に1台から1人1台が当たり前になってきています。わざわざロボット用のマイコンボードを購入しなくても、既に手元にあるiPhoneをロボットの頭脳にできれば、安価なサーボ(1つ、1000円くらい)を組み合わせて簡単にロボットが作れる、iPhoneを使うと、誰でもロボットを作り出せる手軽さが得られます。

手元にあるiPhoneを使い、ロボット作りを手軽に始められます

ロボットだけじゃない

 ここまでiPhoneとロボットの話をしてきましたが、このソフトウェア・モデムの使い道はロボットだけに限りません。色々なモータやセンサーを自由に接続することができますから、自分のアイディアのiPhoneアクセサリを、これまでよりずっと簡単に開発できます。
 
 色々なアイディアがあると思いますが、例えば、スイッチを接続すると、iPhone (iPad) をクイズの早押しマシンにできます。iPhone(iPad)が、どのボタンが一番早く押されたかを検出して、iPhone(iPad)の優れたグラフィック表示とオーディオ機能を駆使した、クイズ番組のような演出音と表示とで、場を盛り上げる演出ができます。

 また、例えば、おもちゃにiPhoneをはめ込むようにすれば、低価格で、iPhoneの高度なグラフィックとタッチパネルを生かした魅力的なおもちゃの開発が可能になります。タッチパネルの操作感は、おもちゃにも最適です。

 とても魅力的なソフトウェア・モデムは、既にiPhoneの音声端子を使う製品がいくつか販売されています。例えば、iPhoneを万能赤外線リモコンにする赤外線リモコンのアダプタや、iPhoneを小額決済サービス端末にするクレジットカード読取アダプタが、使われています。
   
ロボットに限らず、iPhoneにデバイスを接続できます

iPhoneだけでもない

 ソフトウェア・モデムの特色は、iPhone以外にも展開できることです。音声端子がある装置であれば対応できますから、Androidなどのスマートフォン、パソコンからでも、接続することができます。適用できるデバイスの範囲がとても広く汎用性があります。

プロジェクト

 iPhoneのソフトウェア・モデムの開発は、弊社以外でも、いろいろな方式、またマイコンに向けたソフトウェア・モデムが開発されています。

表2. ソフトウェア・モデムのプロジェクト一覧

 URL マイコン通信速度(方式)
 FSK Interface board - iPhone hackshttp://www.droidsupply.com/index.php?l=product_detail&p=6 
× 
~6000円
 1200bps
(周波数シフトキーイング)
 iDatahttp://www.alexwinston.com/idata  -
1200bps 
(周波数シフトキーイング)
 arms22 さん(レポジトリ) http://code.google.com/p/arms22/ 
内のSotModem

Arduinoで遊ぼう - iPhoneのオーディオ端子を使って通信をする
Arduino
(ATMEL AVR)
 1200bps
(周波数シフトキーイング)
 リインフォース・ラボ(弊社)http://code.google.com/p/arduino-iphone-shield/Arduino
(ATMEL AVR)
 1200bps
(周波数シフトキーイング)
 かづひ さん(ブログ) http://d.hatena.ne.jp/kaduhi/ 
(プロモ動画) http://www.youtube.com/watch?v=29wQ66_1ybo
秋月電子製AKI-H8/3664ボード(Renesas H8/3664)12kbps
 Project HiJack http://www.eecs.umich.edu/~prabal/projects/hijack/ TI MSP430 300 bps / 8.82 kbps

 以下は、かづひさんのコンセプトビデオです。

iPhone Walking Robot

 

iPad Walking Robot


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